無線綴じか中綴じか。特徴を比較してからZINEをつくろう
平田提Share
ZINEをつくるとき、大きく分けて「無線綴じ」か「中綴じ」の選択肢があります。無線綴じは文庫本や単行本と同じように背表紙ができて、棚に並べたときにタイトルが見える形式です。中綴じは安価でより手軽、180度開く利点がありますが無線綴じはまた別の佇まいがあります。
無線綴じとは
無線綴じは、本文の紙を束ねて、背の部分に糊をつけて表紙でくるむように綴じる製本方法です。「くるみ製本」とも呼ばれます。
※ハードカバーは上製本、ソフトカバーは並製本と別途呼ばれます。

▲DIY ZINEスクール生の方が手製本でつくられた、上製本のZINE。
ホチキスや糸を使わない(「線」がない)ので「無線」綴じ、という由来のようです。一般的な書籍・文庫本・単行本・商業誌の多くは、この無線綴じでつくられています。
無線綴じのメリット

背表紙ができる
無線綴じ最大の特徴は背表紙があること。本棚に並べたときにタイトルや著者名が見えます。書店や本棚に置いてもらうことを考えると、背表紙があるのは大きいですね。なお背表紙に文字を入れるためには、ある程度のページ数(厚み)が必要です。印刷会社のサイトなどで背幅の計算ツールが公開されていることが多いので、あらかじめ確認しましょう。
※計算には用紙の厚み(斤量)と枚数が必要です。
ページ数が多くても製本できる
中綴じはページ数に上限がありますが、無線綴じは数百ページの本でも製本できます。60ページ以上の分厚いZINEや、複数人による合同誌などにも対応できます。
丈夫で長期保存に向いている
無線綴じは糊でしっかり固められているため、強度があります。繰り返し読んでもバラけにくく、長期保存にも向いています。
高級感がある
背がまっすぐで四角くなるため、見た目に高級感が出ます。販売価格を少し上げたいときにも、無線綴じの方が買い手に価値が伝わりやすいという面もあります。
無線綴じのデメリット
ノド(綴じ側)が開きにくい
無線綴じは中綴じと違い、180度に開くことができません。ノド(綴じ側)が少し詰まって見えるため、見開き全体を使ったレイアウトには向きません。ノド側から10mm以上は余白を確保しておくのがセオリーです。
・関連記事:塗り足しとは?ZINE入稿の前に必ず確認すべき設定方法
中綴じより少しコストが高い
製本の工程が増える分、中綴じよりコストが高くなります。部数や印刷会社によって差はありますが、同じ仕様なら無線綴じの方が高くなることが多いです。
薄すぎると製本しにくい
背に糊をつけて固める構造上、ページ数が少なすぎると背の厚みがなくなって製本しにくくなります。目安として12〜16ページ以下は中綴じの方が向いています。
中綴じとの比較まとめ
中綴じとの比較をまとめるとこんな感じになります。
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中綴じ |
無線綴じ |
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向いているページ数 |
8〜72ページ前後 |
16ページ〜数百ページ |
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開き方 |
180度フラットに開く |
ノドが詰まり気味 |
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背表紙 |
なし |
あり |
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コスト |
比較的安い |
やや高い |
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見た目 |
シンプル 糸やホチキスの色で遊べる |
高級感がある |
・関連記事:中綴じ製本とは。できること・できないこと、やり方
PUR製本とは
通常の無線綴じはEVA系のホットメルト(熱で溶ける糊)を使っています。接着力は十分ですが、50〜65℃程度で糊が柔らかくなり、真夏の車内など高温環境に置いておくとページが抜け落ちるリスクがあります。また、経年劣化で糊が崩れることもあります。
PUR製本は「PUR系ホットメルト」という特殊な糊を使います。「Poly Urethane Reactive(反応性ポリウレタン接着剤)」の略です。空気中の水分と反応してより強固に固まる性質があり、接着強度は通常の無線綴じの2倍以上とも言われています。耐熱温度もマイナス20℃〜120℃程度と幅広く、高温環境での劣化が起きにくいです。
PUR製本のメリット:開きがいい(ノドの詰まりが少ない)、耐久性が高い、環境に優しい(古紙リサイクル時に糊が分離しやすい)。
PUR製本のデメリット:通常の無線綴じより高コスト、対応している印刷会社がまだ限られている。
ZINEで使う場合は、販売用で長く手元に残したい・ページ数が多い・見開きをきれいに見せたい、という場合にPUR製本を検討してみてください。グラフィックやラクスルなど大手印刷通販でも対応しているところがあります。
自分で無線綴じはできるか
DIYでの無線綴じはもちろん可能です。例えば以下のような動画で方法が紹介されています。
ポイントとしては紙の束をまとめて裁断するか、もともと無線綴じで糊付けできるように面付けしておくこと。ハケなどで紙を束ねた束に糊を塗り、表紙を貼り付けます。このとき万力などで圧をかけられるようにしておくとうまくいくでしょう。

A6〜A5などのサイズであれば、「とじ太くん」という機械で無線綴じを実現することはできます。基本的にメーカーが推奨しているのは専用のカバーですが、ZINE制作者の中には自分が用意した紙にとじ太くん別売の「ホットメルト」(両面テープでつける接着剤)を貼り付けて無線綴じを行っている人もいます。
・関連記事:面付けとは。「小冊子で印刷」機能を使いこなそう
どっちを選べばいいか
悩んだら、「自分が好きな本の形」から考えてみることをおすすめします。
文字中心で本屋さんの店に置かれている本のようにしたいなら無線綴じ。写真と文章をざっと組み合わせた冊子、手軽にとれるZINEにしたいなら中綴じなど。
初めてつくるZINEなら、まず中綴じで1冊つくってみて、次作から無線綴じに挑戦するというのもいい流れだと思います。
いずれにせよ、自分の好みと作品に合った形がどちらかをぜひ考えてみてください。






















