ZINEをつくるアプリの選び方。Canva、InDesign、Word…何がおすすめ?

ZINEをつくるアプリの選び方。Canva、InDesign、Word…何がおすすめ?

平田提


ZINEはどんなアプリでもつくれます。もちろんアプリがなくても! 紙に手書き、ハサミとノリで貼ったものをコピーしてもつくれます。もしアプリ(ソフト)でつくりたい場合、選択肢としてよく挙がるのはCanva、Adobe InDesign、Illustrator、Word、PowerPoint、Affinityなどでしょうか。

DIY BOOKSのDIY ZINEスクールでもよく聞かれる質問の一つです。答えとしては「自分が一番使い慣れているものでいい」あるいは「使いやすいソフトを選んだほうがいい」なのですが、それぞれの特徴をまとめておきます。

Canva

近年、ZINEをつくる人の中でも利用が一番増えているアプリがCanvaです。無料で使えて、フォントや素材が豊富で、操作が直感的です。

塗り足しの設定もファイルメニューから簡単にできます。PDF(印刷)でのダウンロードにも対応しています。

ただ、Canvaは元々Web用の画像作成ツールです。印刷向けに少し工夫が必要な部分があります。jpegやpngなど「ラスターデータ」という画像形式をベースにしているため、拡大印刷する場合に解像度が足りない(ジャギジャギする)ことがあります。A5程度の印刷であれば問題ないことがほとんどです。

検索すれば使い方が大量に出てくるので、困ったときに調べやすい点は大きいです。

1点注意したいのが、フォントの埋め込みと「フラット化」という機能。入稿データはどんな環境でも印刷できるようにフォントを埋め込むか、アウトライン化(図像化、輪郭の抽出のようなもの)という処理が必要です。PDFにすればフォントは埋め込まれるのですが、Canvaの場合一部のフォントが埋め込まれない場合があるようです。また「PDF(印刷)」でダウンロードした場合にチェックボックスで選べる「フラット化」にも注意が必要。
フラット化はアウトライン化とは違い、文字も含めページを画像化する処理で、解像度がやや下がる(300dpi程度に)場合があります。恐らく、A5程度の大きさでオンデマンド印刷なら問題はなさそうですが、そういった影響があることは意識しておいておくとよさそうです。

Canva

 

Adobe Illustrator / InDesign

本格的に入稿用データをつくりたい場合は、Adobeのソフトが選択肢に入るでしょう。

Adobe Illustratorは1ページのチラシや表紙制作向き。あるいは見開きでデータをつくる場合に向いているでしょう。Adobe Indesignは複数ページの書籍や冊子制作に特化したソフトで、段組みや書式設定など本格的な機能がそろっています。テキストを流し込めば自動でテンプレートに沿ってページが増えていくのが便利です。どちらもCMYKモード(グレースケールモード)で作業でき、塗り足しやトンボの設定も容易です。Illustratorで作成したベクターデータ(拡大しても粗くならないデータ)をInDesignでも扱えます。文字のアウトライン化、PDF化等も問題なく可能。

 

機能が多いために操作に慣れるのに一定の時間が必要なことと、月額費用がかかる(Creative Cloudのサブスクリプション)のが難点でしょうか。本格的にZINEをつくっていきたい方、仕事でも使いたい方には長期的に見ると利用する価値はあるかもしれません。たまにセールもやっていますのでチェックしてみましょう。

 

Word

Microsoft Wordでも問題なくZINEをつくれます。文字組みが得意で、長文を流し込むのはWordの方が楽な場合もあります。余白の設定(ノド・小口の距離)もページ設定から細かく指定できます。多くの印刷所ではWordのテンプレートを公開していますので、そちらをぜひダウンロードしてみてください。表紙作成サービスのある印刷所もあります。

塗り足しの設定はCanvaのように簡単ではありませんが、適切な余白を取っていれば大きな問題にはならないことが多いです。入稿時はPDFに変換してから送ります。ただしWordはカラープロファイルを指定できないため、カラーの仕上がりが気になる場合はモノクロベースのZINEに向いています。

PowerPoint

CanvaやIllustratorと実は操作感が近いPower Point。画像を自由に動かして配置するような作業がしやすいです。1ページずつ縦のスライドを作っていく、という感覚でZINEをつくれます。実際にPowerPointでZINEを作っている人もいます。こちらも最終的にPDFに書き出して入稿しましょう。

 

Affinity Publisher

Affinity」はCanvaが買収したソフトで、現在は無料で使えます。PhotoshopとIllustratorとInDesignを合わせたようなソフトで、機能が非常に豊富です。ベクターデータ(拡大しても劣化しない形式)での書き出しもできます。CMYKカラーモードにも対応しており、印刷向けのデータ作成に向いています。

唯一の難点は、縦書きに対応していないことです。横書き・左開きのZINEをつくる人には選択肢に入るでしょう。ややプロ向けに近いソフトなので操作の習得に時間がかかりますが、長く使うつもりなら覚える価値はあります。


迷ったときの基準

「今すぐ始めたいか、長く使いたいか」で選んでみてください。今すぐ始めるならCanva。操作に迷ってもGoogle検索すれば答えが見つかります。長く使って品質にこだわりたいなら、AffinityかIllustrator+InDesignの組み合わせが将来的に安定して使えるようになるはずです。

入稿データをPDFにできれば、どのソフトで作ってもほぼ同じように処理されます。まずは使い慣れたもので一冊つくり切ることの方が、ソフト選びより大事だと思っています。
ぜひ参考にしてみてください。

 

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DIY BOOKS店主(編集者・ライター)
平田提

DIY BOOKS店主、編集者・文筆家。秋田県生まれ、兵庫県在住。早稲田大学第一文学部フランス文学専修卒業。ベネッセ等を経て2021年に株式会社TOGLを設立。2023年10月より尼崎市・武庫元町で「つくれる本屋」DIY BOOKSを開店。今まで5,000冊ほどリソグラフで刷って手製本してきました。ZINEを2013年ぐらいからつくっています。