ZINEにおすすめの紙の種類と選び方。斤量や特長をおさえる

ZINEにおすすめの紙の種類と選び方。斤量や特長をおさえる

平田提

ZINEをつくって、最終的に届いた冊子を手にしたとき「思ったより光沢があった」「なんかツルツルしすぎる」と感じる人は多いです。もちろんそれはそれで良く感じたりもするのですが、事前に紙を触ったり、紙の種類・特性を知ったうえで注文できていれば、こういう事態を防ぎやすくなります。入稿前に、ぜひ少しだけ紙のことを知っておきましょう。

「斤量」=厚みについて知る

紙の厚みを表す単位として、印刷業界では「斤量(きんりょう)」という言葉を使います。その紙が1000枚重なったときの重さをキログラム(kg)で表したものです。数字が大きいほど厚い紙です。

厳密には「連量(れんりょう)」とも呼ばれ、同じ意味で使われています。印刷会社の注文画面でも斤量や連量という表記が出てきます。
坪量(つぼりょう) 1平方メートルあたりの紙の重さをグラム(g)で表す単位もあります。

斤量

厚さの目安※

ZINE・冊子での主な用途・特徴

61.5〜70kg

約0.08mm未満

本文(やや薄め~標準)

・一般的なコピー用紙はだいたい55〜80kg程度です。

・60kg以下になってくると紙の種類によっては透けが気になる場合があります。

90kg

約0.08mm

本文(標準)

・書籍の本文によく使われる定番の厚さです。

・90kg以上あれば裏写りはほぼしません。

・100ページを超えるような冊子の本文用紙でもめくりやすいです。

110kg

約0.10mm

本文(標準~厚め)/表紙(やや薄め)

・90kgに比べると丈夫で、しっかりした感じがあります。

・会社案内やパンフレット、ページ数が少なめのZINEの本文などに適しています。

135kg

約0.13mm

表紙(標準)

・ZINEの表紙にすることが多い厚さです。

・適度な厚みで丈夫になり、高級感が出ます。

180kg

約0.22mm前後

表紙(厚め)

・135kgよりもさらに厚めになります。

・よりしっかりとした表紙をつくりたい場合に使われることが多いです。

(※厚さの寸法は、一般的なコート紙などの数値を参考にしています)。

たとえばコピー用紙はだいたい55〜80kg程度。書籍の本文によく使われるのは90kg前後。表紙はそれより厚め、135kgや180kgにすることが多いです。

本文に対して表紙を厚くするのが基本セオリーです。例えば90kgの本文(ほんもん)なら、135kgの表紙を選ぶイメージです。表紙を厚くしすぎると、めくりづらくなることもあるので、ここは実際に触って確かめるのが一番です。

一点だけ注意してほしいのは、「同じ90kgでも紙の種類によって厚みの感じ方が変わる」ことです。基準にしている紙の判型(サイズ)でも違います。ざら紙(わら半紙系)のような紙と、上質紙では、同じ斤量でも体感がかなり違います。だから斤量だけで判断せず、種類も合わせて検討する必要があります。

90kg以上あれば裏写りはほぼしません。60kg以下になってくると紙の種類によっては透けが気になる場合があります。本文に写真やベタ塗りが多い場合は、少し厚めにしておくと安心です。

 

コート紙とマット紙の違い

紙には大きく分けて「コート紙(塗工紙)」と「マット紙(非塗工紙)」があります。

コート紙は表面にコーティングが施されており、光を反射してツルツルした手触りになります。写真の発色がきれいで、雑誌のグラビアページのような見た目になります。水に強いという実用的なメリットもあります。

(紙の見本を印刷通販の会社や用紙会社に注文することができます)

マット紙はコーティングなしで、ザラっとした質感が特長です。光をあまり反射しないので、目が疲れにくいです。本の本文や文字メインのZINEによく使われます。リソグラフだとほぼマット系になります。インクが染みやすく、風合いが出ます。

コート紙とマット紙の中間にあたる「マットコート紙」もあります。適度な光沢と読みやすさを両立した紙で、カタログや情報誌によく使われます。

どちらが好きかは完全に好みですが、事前にイメージしておかないと届いてから「これじゃない」となります。少なくとも「光沢が欲しいか欲しくないか」だけでも決めておきましょう。

 

ZINEにおすすめの紙の種類

多くの印刷会社に採用されていて、よく選ばれる紙をいくつか挙げておきます。

ヴァンヌーボ/アラベール:画用紙に近い質感のファンシーペーパーです。プロのデザイナーもよく使う高級紙で、表紙に使うと一気に手触りが良くなります。インクの染み込み方が独特で、印刷物に温かみが出ます。
スノーホワイト、

上質紙・中質紙:本文の定番です。白色度の差で呼び名が変わりますが、普通に読みやすい紙を選ぶなら上質紙でも問題ないでしょう。

(『昔の会社員はどうやって仕事していたのか?』Vol.2は中質紙55kg。リソグラフで刷っていますがやや透けます。ただあまり気にならないレベル)

マットコート
雑誌っぽい雰囲気を手軽に出したいならマットコートがおすすめです。さらさらした質感でめくりやすく、光沢も残るので写真も映えます。

淡クリームキンマリ(琥珀)・淡クリームラフ書籍:クリーム色で目に優しい書籍用紙です。少し値段が上がりますが、反射が少なく、長文を読むのに向いています。

(書籍『木ひっこぬいてたら、家もらった。』は淡クリーム琥珀72.5kg。ところどころ図版はありますがほとんど透けません。『武庫之荘で暮らす』は淡クリームラフ書籍61.5kg)

上質再生紙:再生パルプを使った紙で、環境意識の高いZINEにもマッチします。上質紙に近い質感で扱いやすいです。

印刷会社にもよるのですが、無線綴じか中綴じか、あるいはオフセット印刷かオンデマンド印刷かで選べる紙が変わることがあります。その点もぜひ考慮して選んでみてください。

・関連記事:無線綴じか、中綴じか。それぞれの特徴

・関連記事:オフセット印刷、オンデマンド印刷の違い。リソグラフとは?

 

紙は触ってから決める

何よりおすすめしたいのが、実際に紙を触ることです。

グラフィックなどの印刷会社は、会員登録するとペーパーカタログを取り寄せられます(有料の場合もあります)。また羽車印刷は東京・大阪にショールームがあります。関西なら大阪堺筋本町に「丹羽紙業」という紙屋さんのショールーム「mukku」があります。東急ハンズや世界堂でも、紙の斤量が表示されている場合があるので、手触りを確かめながら選ぶことができます。

オンラインではなかなか紙の質感や風合いを感じられにくいですよね。ぜひ見本を取り寄せたり、ショールームや文房具屋さんに出かけてみて、実際に触ってから制作に移られることをおすすめいたします。よいZINE制作に向けて、ひと手間ではありますが今後もきっと役立つ知識・経験になるはずです!

一方で忘れたくないのはZINEの手軽さ。コピー紙に手書きで書いたZINEもそれはそれで味があるもの。まずは一度ぜひつくってみて、トライ・アンド・エラーを重ねてご自身が好きな紙を見つけていってみてください。

・関連記事:紙の縦目・横目とは。中綴じには横目(Y目)の紙を

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DIY BOOKS店主(編集者・ライター)
平田提

DIY BOOKS店主、編集者・文筆家。秋田県生まれ、兵庫県在住。早稲田大学第一文学部フランス文学専修卒業。ベネッセ等を経て2021年に株式会社TOGLを設立。2023年10月より尼崎市・武庫元町で「つくれる本屋」DIY BOOKSを開店。今まで5,000冊ほどリソグラフで刷って手製本してきました。ZINEを2013年ぐらいからつくっています。