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Home / Archives for 町の本屋

町の本屋

小林書店閉店の日。最後まで人に施す姿勢に、店の人生があらわれていた

2024年6月4日

小林書店

小林書店が5月31日に閉店した。お昼からあった、お別れ会ならぬ「お礼の会」に伺った。

小林書店は72年続いた兵庫県尼崎市・立花の本屋だ。全国的にも有名で……詳しいことは『仕事で大切なことはすべて尼崎の小さな本屋で学んだ』やBookLinkのこちらの記事を読んでいただければと思う。

店主・小林由美子さんいわく「最終日にさみしいのは嫌だし、ずっと紅白の布を飾って振る舞い酒をして、華々しく終わりたい」ということで、今までの感謝をする「お礼の会」になったそうだ。

※『町の本屋』のあとがきも記事にしたのでよろしければこちらも。

お昼過ぎに雨が降ってくる。シャッターが開くのを末人たちが傘をさす。本だけでなく傘も売ってきた小林書店にはなんだかふさわしいのかな、と思った。

テレビの密着カメラ、新聞紙の記者さん、常連のお客さん、イベントでかかわる方たち、いろんな人が来られていた。

シャッターがあいて、由美子さんと昌弘さんの姿が見える。もう由美子さんは泣いている。なんとも言えない気持ちになった。閉店の報せを聞いたときは僕も思わず泣いてしまったけれど、今は由美子さんが望むように「よくぞここまで続けてこられましたね(というのは大変おこがましいけれど)、お疲れ様でした」という気持ちが強かった。

小林さんご家族や協力されるみなさんがおいしいお酒やちくわを振る舞ってくれた。お二人に花束を渡して僕は帰らなければいけなかったけれど、まだまだお話したいことはたくさんあった。

最後の日に、人に施すという姿勢が小林書店のすべてをあらわしていると思う。

自分の人生の終わりは映画の『ビッグ・フィッシュ』みたいに、これまでの人生のオールキャラクターが集まって棺桶に花を入れてくれたら嬉しいと思っていた。そこに今は会社という「法人」、店という人格が増えた。自分の店の終わりはどうなるだろう。そこに自分や店の在り方があらわれる。考えていくことがまた増えた。

DIY BOOKSを開く前に小林書店に伺って相談して以来、由美子さんは何度も目をかけてくださった。昌弘さんにも「本屋は儲からんしやめた方が良い」とアドバイスもいただいた。

そのあとはっきり分かったのは「本屋は本当に続けるのが難しい」ということだった。結果的に、DIY BOOKSは本来の「つくる」方の意味での本屋に集中すべく、ほとんど本を売る本屋ではなくなった。実際のところ、本業をしながらの開店となったが、本屋自体で収益を得るのがかなり難しかったのは営業形態変更の理由の一つにある。

だからこそ、小林書店が続いてきたことのすさまじさが(ひよっ子ながら)理解できる。

そして由美子さんの売る力。トーク力。

僕が新卒で入った某通信教育の会社でダイレクトメールをつくったり、雑誌の販促をしたりする仕事に就いて学んだ真理は、商品そのものじゃなくて、ベネフィットを売ること。相手に合わせて。ダイレクトメールやメルマガ、SNSだったらそれが1対nでできる。でも由美子さんはそれを1対1でとてつもない回数やってこられた。

結果的に数百部、数千部を売る。その原点には、人と本に向き合う誠実さがある。

この前、「これからの町の本屋」というイベントで由美子さんや他の本屋さんと話させてもらったとき、いかに僕が本を売るのがうまくないかという話になった。由美子さんは「おいおい教えていく」と言ってくださったが、そろそろ真剣に聞きに行かなければいけない。さらに本屋として、人間として身の振り方をいまめちゃくちゃ考えてるんです、と。

正直なところ、僕はあの日以来結構凹んでいる。ウソをつけない。分かっていたことだけれど、小林書店が開かないというのはさみしい。でも遊びにいこうと思う。

小林由美子さん、小林昌弘さん、ご家族のみなさん、かかわってきたみなさま、本当にお疲れ様でした。

また会いましょう。

カテゴリ随筆 関連タグ:小林書店, 町の本屋

『文集 町の本屋』あとがき

2024年6月4日

小林書店閉店の報せを受けて、店主・小林由美子さん含む12人で寄せた『文集 町の本屋』のあとがきを公開します。

※最終稿とは異なります。

あとがき

 雨あがりのように、晴れやかな気持ちで町の本屋の旅立ちにはなむけを送りたい。この文集をそういう思いで綴った。

 「まえがき」で若狭さんが書いてくださったように、この文集をまとめるきっかけは、尼崎市・立花にある小林書店さんの閉店を知ったからだ。小林書店を訪ねてお話したことがDIY BOOKSの大きな始まりだった。だから何かできないか、と考えた。

 はじめから小林書店以外も含めた「町の本屋」のエピソードをテーマにしようと思っていた。というのも、後日店主の小林由美子さんと話して「そうして良かった」と感じたのだが、小林さんは涙の別れを望んでいないからだった(どうやったって小林さんもお客さんも泣くと思うんですけど)。むしろ「よくここまでがんばった!」と、自分で祝いたいと小林さんは言う。だから、最終日には紅白の布を飾りたいと。このZINEの表紙は小林書店の青いテントにちなんだ色合いにしようと思っていたが、この一言を聞いて「赤でいこう」となった。

 誰しもにあるであろう、町の本屋の思い出。小林書店やうちのお店だけじゃなくて、全国のどこにでもあるはずの、小さなエピソード。たわいもない話かもしれない。でもそのたわいもなさは、その人の中にしかない。こうして文集にまとめなければ世に知られることがない話。少なくともあなたは読むことはなかった話。秘密。それをどうにか形にしたかった。

 「店主が売りたい本を選ぶ」「本以外の雑貨を売る」「ビブリオバトルなどイベントで人を集める」など、小林書店はある意味いまの独立系書店の先駆的取り組みをしてきた。とはいえ『仕事で大切なことはすべて尼崎の小さな本屋で学んだ』(川上徹也/ポプラ社)にあるように、あるいは本書で由美子さんが書かれているように、小林書店がやってきたことは地道な、コツコツとした小さな仕事の積み重ねだ。新刊書店として大手取次との取引もずっと続いている。一方で、震災後に傘を売る取り組みを始めるなど新しい取り組みもどんどんやってきた。『キン肉マン』が大人気の時代、小さな書店にはほとんど配本されない。その時期に別の本で実績をつくることで大量に配本される実績をつくった。すべて小林書店が本と、お客さんと真摯に向き合ってきた結果だ。「特別ではない」なんて言えない。本屋をはじめて、同じことをまったくできないことが僕にはわかった。「まじめに商売をする」のがいかに難しいことか。それを続けてきた信用で、小林書店はできている。

 僕はずっと思っていた。小林書店は町の本屋の象徴だと。町の本屋にできることをほとんどやってきた。それに、全国の本にかかわる人に慕われている。

 長くなってしまったが、あえて小林書店以外も含む「町の本屋」全般をテーマにしたのはそれが理由だ。筆者によっては小林書店のことを書かれている方もいる。もちろんそれでいい。逆にそうじゃなかったとしても、どこかに小林さん夫妻の、小林書店にかかわる人たちの顔が見えてくるような気がするはずなのである。大切な本との出合いや、本屋にまつわる小さなお話が、小林書店と、それ以外の町の本屋ともリンクしていくんじゃないか。そう考えた。

 表紙を傘のような本にしたのは、もちろん小林書店で傘が売られてきたことが一つの理由だ。もう一つは、本屋が、どこか雨やどりの場所のように思えるからだ。本屋をはじめてみたら、二時間、三時間話すお客さんがよく来られる。時間帯効果(利益)を考えると非常に大変にあれではあるが、偶然聞くお話はとても面白い。一方で、自分の店がお寺や教会のように思えてくる。おこがましいけど。

 自分がお客さんとして本屋に行くときは、ただ暇だとか、進路に迷っただとか、どこか落ち着く場所を探して訪れていた気がする。僕にとっても、本屋は教会のような存在だった。

 本屋は、人生の雨やどりの場所なんだと思う。

 だからこそ、小林書店の最後の日は、終わりというよりは旅立ちのようにとらえたい。

 

 『大辞林』を引くと「本屋」にはこういう意味がある。

【本屋(ほんや)】本を売る店、また人。出版社をいうこともある。書店。書肆(しょし)。

 全国でいろんな町の本屋が試行錯誤している。大変だけど、面白い時期だ。

 僕らDIY BOOKSも原稿を書き、店内にあるリソグラフで印刷して手で製本して売る、町の中華みたいな本屋だ。本屋一本では無理だけど、やりがいはある。

 一方で、今の時代、ほとんどの人がすでに本屋になりかけているんじゃないかと思う。

 文学フリマやアートブックフェア、コミティア、コミックマーケットはいわずもがな、同人誌やZINE界隈は盛り上がっている。

 上の定義からいけば、自分でZINEをつくってイベントで手売りする人は、もれなく本屋であろう。真っ当な意味で。メルカリで本を売るために売り文句を考える人も、本屋だと思う。

 本屋は減っているけれど、町にはたくさんの本屋さんが歩いているはずなのだ。

 現「町の本屋」としてすべきことは、町にいる「本屋予備軍」に声をかけ、本屋になってもらうことだ。うちの店も、仕入れて本を売るというより、いろんな人に本をつくってもらいたくて開いた。

 だから僕は言いたい。あなたが本屋になるんだよ、と。いや、すでにあなたは本屋なので自覚してください、と。

 小林書店や、多くの町の本屋からのバトンをみんなで笑顔で受け取って、新しい本屋を続けていく。またつらくなったら、傘を閉じて本屋で雨やどりすればいい。町の本屋さんはそのときに寄り添う本を、そっと置いていてくれているはずだ。

 町の本屋さん、ありがとう。また会いましょう。


文集:町の本屋

『文集 町の本屋』

小林由美子さんと11人の町の人が書いた「町の本屋さん」のエピソード

購入する

カテゴリZINE 関連タグ:zine, 小林書店, 町の本屋

トークイベント「これからのまちの本屋」@小林書店参加しました

2024年5月19日

兵庫県尼崎市立花で70年以上続いた新刊書店、「小林書店」が今月、2024年5月末で閉店されます。

そんな小林書店で店主・小林由美子さんが3名の町の本屋の店主を呼んで語り合うトークイベント「これからのまちの本屋」に2024年5月18日(土)に開催、DIY BOOKS店主・平田も登壇者として参加しました。

トークの模様はこちら(Zoomのアーカイブ配信)

●登壇者
・小林 由美子(小林書店) 
・河田 秀人(ブックランドフレンズ)
・鳥平 純子(いろどり書房)
・平田 提(DIY BOOKS)

当日はオフライン/オンラインともに40名弱の方に参加いただきました。ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。

小林さんが今まで町の本屋を続けてきて苦労されたこと、河田さんや鳥平さんが本屋さんをはじめた経緯などを伺いました。

イベント中にもお話しましたが、やはりDIY BOOKSは本を売るというよりつくるほうの意味での本屋だな、と改めて思いました。イベント終了後、参加者の方に「それって江戸時代に瓦版を売り歩いた『読売』ですよね」といわれたのが印象的でした。そうかもしれません(そうでないかもしれません)。

ただ個人的に、書くことと読むことは切り離せないと思っているので、いつも開いていない本屋にはなってしまったのですが、じわじわと活動を続けていきたいと思いました。小林由美子さんがおっしゃるように「本屋は何やったっていい」という言葉のとおり、なんでもやってみようと思います。

小林さん、河田さん、鳥平さん、司会の若狭さん、イベント運営のみなさま、お客さまみなさんありがとうございました。

文集「町の本屋」をつくりました

4月1日に小林書店閉店の報せを聞き「私たちで何かできないか」と小林書店で本の配達のお手伝いもされていた、若狭健作さんと話しあった結果、文集をつくることになりました。

小林書店だけでなく、町の本屋さんであったできごと、本との思い出を綴る。

小林書店にゆかりのある方だけでなく、DIY BOOKSのお客さん、お仕事で知り合ったみなさんにお声がけしたところ12名の方に文を寄せていただきました。

そこから編集し、DIY BOOKSのリソグラフで印刷。若狭さんや文を寄せていただいたシキタリエさんとおしゃべりしながら丁合・製本・裁断し、完成しました。

表紙の紙は赤色のレトロ感を出したく、ファーストヴィンテージを選びました。

表紙に傘のイラストがあるのは、小林書店が本だけでなく傘も売ってきたお店だからです。

最近の、DIY BOOKSも含めた独立系書店が行っている「店主が売りたい本を選書する」「本以外の商品も売る」「イベントで集客する」といった取り組みは小林書店が数十年前から行われてきました。

小林書店は「町の本屋さん」であると同時に、今の本屋さんのようにけっこう「攻めた本屋さん」でもあった。それは生き残るため、お店を続けるためでもありましたが、店主の小林由美子さん、夫の昌弘さんの人柄と信用で人が集まり続ける場所でもあり続けました。

このZINEで小林書店以外のお店も含む「町の本屋さん」をテーマにしたのは、小林書店が町の本屋の象徴のように思えたからです。そして小林さんは、お店を閉めることをネガティブにはとらえていない。むしろ最終日は紅白の布をたらして、「よくやった!」と門出を祝いたいと言う。

それはその後の町の本屋への、エールになるだろうとも思うのです。

文集には小学生から70代の方まで文を寄せてくれましたが、小林由美子さんにも寄稿いただきました。

小林書店だけでなく、町の本屋の良さや本との個人的で普遍的な体験を語る一冊になっています。

ぜひお手にとってみてください。

【仕様】

A5/36p(表紙込み)/表紙2C/本文1C

【執筆陣】※掲載順

若狭 健作

高寺 芳和

平田 提

のぼりぐち みちこ

シキタ リエ

志木田 明璃

クスモト トモコ

デイリーマザキ

白川 烈

桂 弥太郎

宇久 理恵

小林 由美子

文集「町の本屋」を購入する

カテゴリイベント 関連タグ:イベント, トーク, 動画, 小林書店, 町の本屋

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