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橙書店にて

橙書店にて

通常価格 ¥902
通常価格 セール価格 ¥902
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短いですけど本屋を始めてから、いろんな人が来てくださいました。あんなことやこんなこと、語りたい話もいくつかできてきます。

熊本にある本屋兼喫茶店「橙(だいだい)書店」の店主、田尻久子さんによるエッセイ集『橙書店にて』(ちくま文庫)には、お客さんやスタッフの方たちと過ごしてきたエピソードが語られています。

ハンセン病患者「関さん」、石牟礼道子さんの本を買いに来られる人、村上春樹朗読会のこと、ポール・オースター『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』みたいな、偶然みたいなスタッフさんたちのお話。
当店にも来てくださった、本屋・生活綴方のお店番もされているジャグラーの青木直哉さんも出てくる。

坂口恭平さんの本を読んでいるとよく橙書店と田尻さんの話が出てきます。坂口さんが原稿を仕上げるとすぐ田尻さんに読んでもらうといいます。坂口さんの本を読んで感じた田尻さんの懐の深さは『橙書店にて』を読むとさらに強く感じられます。

滝口悠生さんが解説で書かれている「本に書かれた言葉というのは、その場にいないひとに向けて発された言葉だ」というのは本当にそうなんですよね。
そして本屋をはじめて毎日、誰かが来てはいなくなっていく。事務所でリモートワークしかしていなかった日々には考えられなかった、出会いと別れを毎日繰り返しています。中には二度と会えないお客さまもおられるかもしれない。

『橙書店にて』には、その場にいないひとに向けて、二度と戻らない「かそけき光景」へのいとおしさが描かれているように思います。

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